イギリスで初めてNHSを利用した話

ロンドン暮らし

世間の話題はコロナウィルスで持ち切りだというのに、2 週間ほど前に 39 度近くの熱が出てしまいました。

普段は家で仕事していて外出もあまりしていません。

なので、さすがにコロナウィルスではないだろうと思い、Lemsip を飲んで 2 日ほどベッドの上で休むと何とか熱は下がりました。

これで大丈夫かなと安心していたのですが、その次の日から咳が止まらなくなってしまいました。

僕は数年前から熱が出ると咳だけが長く残り(気管支炎や咳喘息のような症状)、日本で耳鼻咽喉科に通うことがあったのですが、今回もそれと同じような症状が出てしまったようです。

このまま症状が続くようであれば、さすがに病院に行った方が良いかなと考えていました。

NHS について

イギリスには、NHS(国民保健サービス)という医療制度があり、イギリス国民は基本的に無料で病院を利用できます。

外国人でも VISA の取得時に NHS の費用を支払うことで同じサービスを受けられます。僕も YMS の VISA を申請する際に費用を払いました(結構高かった記憶が)。

いくら利用しても無料なのは良いことですが、その代わり病院の予約がなかなか取れないことがかなりのデメリット。

NHS の制度上、「かかりつけ医(GP)で診察を受ける → 専門医を GP に紹介してもらう(必要な場合)」という流れです。しかし、最初の GP の予約になんと 1~2 週間かかってしまうのです。

緊急外来ならその日に診てもらえる場合がありますが、重症でないと何時間か待たされることがあります。

こうした事情があるため、イギリスでは日本のように「風邪を引けばすぐに病院」と言った考えはなく、軽い風邪や熱であれば、市販薬で治してしまう人が多いようです。

僕の周りでも予約の電話を入れたら受付の人に「その症状なら病院に来る必要ないね」と断れるケースを何度か耳にしました。医者ではなく、受付の人が症状を診断するというのはどうかと思いますが・・・

NHS のサイトで症状を確認

NHS のサイトには、症状とその対処法を記載しています。

医療に関する情報をネットで検索すると、信憑性の怪しいものがゴロゴロと出てくるので、こうした信頼できるサイトがあるのは良いですね。

実際に「咳の症状」を NHS のサイトで確認してみます。こう書いてあります↓

There’s usually no need to see a GP.
You should:
rest
drink plenty of fluids
You could also try:
hot lemon and honey (not suitable for babies under 1 year old)
a herbal medicine called pelargonium (suitable for people aged 12 or over)

基本的に GP に行く必要はないそうです。

できることは、「休む」「たくさんの水を飲む」「ホットレモンハニーを飲む」「Pelargonium というハーブの薬を飲む」と書いてあります。

See a GP if:

you have had a cough for more than 3 weeks (persistent cough)
your cough is very bad or quickly gets worse – for example, you have a hacking cough or cannot stop coughing
you feel very unwell
you have chest pain
you’re losing weight for no reason
the side of your neck feels swollen and painful (swollen glands)
you find it hard to breathe
you have a weakened immune system – for example, because of chemotherapy or diabetes

病院に行く基準は、要するに「ひどい咳が続く」場合とのこと。

一応、気管支炎のページも見てみます。

Most cases of acute bronchitis can be easily treated at home with rest, non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) and plenty of fluids.

まあこれも、要するに NHS の決まり文句「水をたくさん飲んで休め」ということです(だいたいの症状でこれが書いてあります笑)。

アドバイス通りにホットレモンハニーを飲んだり、咳止めシロップを試したりしましたが、2~3 週間経っても咳が止まらなかったため、病院を予約することにしました。

NHS を予約

電話だと確実に受付で断れると思い、ネットで予約することにしました(設定は面倒ですが、NHS のアプリでも予約できます)。

病院のスケジュールを確認すると 3 日後の朝が空いていたので、その時間で予約しました。

僕はフリーランスなので平日でも融通はききますが、これが会社員だと予約できる時間帯を見つけるのは大変だと思います・・・

ちなみに、コロナウイルスかもしれない場合は病院に行ってはダメとのこと。あやしい場合は、111 というコールサービスを相談する必要があります。

ここのところ家で引きこもって仕事をしていたので、さすがにコロナウィルスではないと思い、普通に病院に行くことにしました。

初めて NHS を利用する

病院のカウンターに行って「予約時間」「名前」「生年月日」を伝えました。

「そこで座って待ってて。モニターに名前が出るから」と案内され、5 分ほど待つとモニターに僕の名前と部屋の番号が表示されました。

指定された部屋に行くと医者が待っています。

「咳の症状を具体的に教えて」「いつから続いてる?」「咳以外に何か症状は?」と色々と尋ねられ、その後に喉を見たり、肺を聴診したりしました。

医者いわく「肺は異常なさそう。ウィルス性ではないけど、喉が少し赤いから咳の原因は喉にあるね」とのこと。

「通常こういう場合、抗生物質(Anti-Biotic)は処方しないし、今日は特に薬を処方しないよ」と言われました。

病院に行って薬が処方されないことは初めてだったので「本当に薬は無しなの?」と聞くと、「うん、無し。もし2〜3週間しても治らなかったり、さらにひどくなったら 111 に電話するか、また予約して」という答えでした。

医者にそう言われてしまったらどうすることもできないので、そのまま家に帰りました・・・

抗生物質について

気になって調べてみると、日本の病院ではすぐに抗生物質を処方されると思いますが、イギリスでは滅多に処方されないようです。

ちなみに NHS のサイトにこのように書かれています。

Antibiotics are no longer routinely used to treat infections because:


・many infections are caused by viruses, so antibiotics are not effective 
・antibiotics are often unlikely to speed up the healing process and can cause side effects 
・the more antibiotics are used to treat trivial conditions, the more likely they are to become ineffective for treating more serious conditions 


Both the NHS and health organisations across the world are trying to reduce the use of antibiotics, especially for health problems that are not serious.

https://www.nhs.uk/conditions/antibiotics/antibiotic-antimicrobial-resistance/

簡単にいうと・・・

多くの症状はウイルス性のものであるが、抗生物質はウイルス性に効果がないし、抗生物質を使いすぎると将来的に深刻な症状に対して効かなくなる可能性がある。だから、余程のことがない限りは、抗生物質の使用は控えましょうとのこと。

もしかしたら世界的に見たら、日本は抗生物質に頼りすぎているのかもしれませんね。

余談ですが、このポッドキャストでも抗生物質について議論されていて面白かったです↓

とはいったものの

しかし、この咳は果たして自然に治るのだろうか・・・

とりあえず市販薬を飲んでいますが、結局 4 週間くらい続いているので心配です。

地下鉄や公共の場で咳をしていると、コロナウイルスだと勘違いされるのが嫌なので(特にアジア人なので)、早く治したいんですよね。

もうすぐフィンランド旅行も控えているので、悪化するようなら病院にもう一度行ってみたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました